制作の進め方 公開 2026.10.13 読了目安 約11分

ホームページにWordPressは必要か ― 更新する内容と担当者から決める

WordPressが要るかどうかは、何を誰が直し、管理者の作業を誰が持つかで決まると考えています。

お知らせや料金を自分で直したいとき、WordPressを入れるかどうかはよく迷うところです。

WordPressの試験環境で4つの権限を使って更新作業を1つずつ試し、この1年に本体で出た版の数も公式の記録で数えました。

編集者の権限でどこまで直せるかと、WordPressを使わない場合の分担を、確認表にまとめます。

この記事の要点

  • WordPressの編集者の権限では、料金ページとお知らせは直せましたが、フッターの営業時間やメニューは直せず、プラグインの更新画面にも入れませんでした。
  • 本体は既定で自動更新されますが、この1年にセキュリティ修正を含む版が7回出ました。プラグインとPHPの更新、更新後の確認は管理者の作業として残ります。
  • 直すのが料金や営業時間で年に数回なら、依頼で済ませられます。社内の複数人が毎週お知らせを出し、管理者の作業まで持てるなら、WordPressが合うと考えています。

1. 「更新」を、文字の修正・記事の追加・ページの追加・機能の追加に分ける

「ホームページを自分で更新したい」というときの更新には、性質の違う作業が混ざっています。WordPressが要るかを考える前に、次の4つに分けておくと、必要な仕組みが見えやすくなります。

  • 今あるページの文字を直す。料金、営業時間、電話番号、スタッフの名前などです。料金はサービスのページの本文に、営業時間や電話番号は全ページ共通のフッターに載せているサイトもあります。
  • 記事を足す。お知らせ、ブログ、施工事例のように、1本ずつ増えていく作業です。
  • ページを足す。採用情報や新しいサービスのページです。ページが増えると、メニューにも項目を足すことになります。
  • 機能を足す。予約の受付、決済、会員向けのページです。文章の更新ではなく、仕組みの追加にあたります。WordPressではプラグインで、ほかの作り方では予約サービスなどとの連携で用意します。

この4つは、WordPressの中でも必要な権限が違います。記事を足すだけなら書く人の権限で足りますが、フッターやメニューに触れると管理者の権限が要ります。機能の追加は、WordPressかどうかより、どのサービスやプラグインを使い、誰が設定と保守を持つかで決まる話です。

WordPressが要るかどうかは、この4つのうち、どれを、どれくらいの頻度で、誰が行うかで変わると考えています。

2. WordPressの4つの権限で、同じ更新作業を試した

WordPressには、ログインする人ごとに役割(権限)を割り当てる仕組みがあります。既定の役割は、管理者・編集者・投稿者・寄稿者・購読者の5つです。制作会社が管理者を持ち、依頼した会社の担当者には編集者を渡す、という分け方が紹介されることもあります。

では、編集者を渡された担当者は、どこまで直せるのか。WordPressの公式の試験環境(WordPress Playground)に、2026年9月30日時点の最新版7.1.2を立ち上げて確かめました。テーマは既定のTwenty Twenty-Five、お問い合わせフォームにはContact Form 7を入れ、架空の事業「くらしクリーン(架空)」の料金ページとお知らせを置いています。購読者を除く4つの役割でログインし、同じ作業を1つずつ実行した結果が次の図です。

WordPressの既定の4つの権限で更新作業を試すと、編集者は料金ページの修正とお知らせの公開までできたが、フッター・メニュー・サイトの設定・プラグインの更新画面は管理者だけだった
WordPressの既定の4つの権限で更新作業を試すと、編集者は料金ページの修正とお知らせの公開までできたが、フッター・メニュー・サイトの設定・プラグインの更新画面は管理者だけだった

編集者は、料金ページの本文を直し、お知らせと新しいページを公開できました。画像のアップロードと、お問い合わせフォームへの項目の追加もできました。投稿者はお知らせの公開と画像のアップロードまでで、料金ページのような固定ページは直せませんでした。寄稿者は下書きの保存までで、公開は別の人に頼む形になります。

一方で、フッター・メニュー・サイト名などの設定は、編集者では「このページにアクセスする権限がありません」と断られました。フッターに載せた営業時間や電話番号、メニューの項目は、管理者でないと直せないということです。WordPressの公式の権限表でも、テンプレートとメニューを編集する権限(edit_theme_options)は管理者だけに割り当てられ、サイトエディターとナビゲーションメニューに入るための権限と説明されています。古い形式のテーマ(クラシックテーマ)でも、メニュー・ウィジェット・カスタマイザーは同じ権限で判定されます。

お問い合わせフォームは、プラグインが権限を決めていました。Contact Form 7では、編集者はフォームに項目を足せ、投稿者は断られました。公式の権限表には載らない部分なので、入れるプラグインごとに、誰が何をできるかを確かめることになります。

編集者を渡されて自分で更新できるようになっても、営業時間や電話番号をフッターに載せていれば、そこを直すたびに管理者への依頼が要ります。管理者を自社で持てばすべて直せますが、そのかわり、プラグインや本体の更新も自社の役目になります。

この確認は試験環境で行い、本体やプラグインの更新そのものは実行していません。操作にかかる時間や使いやすさも測っていません。

3. 本文の更新とは別に、管理者に残るシステムの作業

WordPressの管理者には、ページの中身とは別に、WordPress本体・プラグイン・テーマと、それらを動かすPHPの面倒を見る役目があります。

本体は、既定で自動的に更新されます。WordPress 5.6以降に新しく入れたサイトでは、機能を足す大きな更新(メジャー)も、修正のための小さな更新(マイナー)も自動で当たります。5.6より前から使っているサイトは、既定ではマイナーだけです。試験環境の管理者の画面にも「このサイトは WordPress の新しいバージョンごとに自動的に最新の状態に保たれます。」と表示されていました。

プラグインとテーマは、既定では自動で更新されません。プラグインごとに自動更新を選べる画面は5.5で入りましたが、既定は無効です。試験環境でも、入っていた3つのプラグインはすべて「自動更新無効」でした。自動更新に切り替えられるのも、管理者だけです。

では、1年のあいだに本体の更新はどれだけ出たのか。公式のリリース一覧に書かれた日付で、2025年10月から2026年9月までに、その時点の最新の系列で公開された版を、一覧と各版の記事で数えました。

2025年10月から2026年9月までにWordPress本体の最新の系列で出た版は13回で、うち7回がセキュリティ修正を含み、そのうち5回は7月中旬から9月下旬の約2か月に集中していた
2025年10月から2026年9月までにWordPress本体の最新の系列で出た版は13回で、うち7回がセキュリティ修正を含み、そのうち5回は7月中旬から9月下旬の約2か月に集中していた

最新の系列に出た版は13回で、そのうち7回がセキュリティ修正を含んでいました。残りは、機能を足す大きな更新(6.9・7.0・7.1)が3回、不具合の修正だけの版が3回です。セキュリティ修正を含む版のうち5回は、7月中旬から9月下旬の約2か月に集中していました。なお、日本時間で数えると、米国時間の2025年9月30日に出た6.8.3(セキュリティ修正)が期間に入り、14回・うち8回になります。

深刻度が高かった7.0.2では、WordPress.orgが自動更新の仕組みを使って、対象のサイトに更新を強制的に配っています。この1年で、強制的に配ったと記事に明記されているのは7.0.2だけでした。

プラグインは、それぞれの作者が別々に新しい版を出します。お問い合わせフォーム・SEO・バックアップ・セキュリティなど、有効なインストールが50万件以上あるプラグインの中から8本を選び、同じ1年で数えると、新しい版は少ないもので1回、多いもので28回出ていました。

PHPは、WordPressの外側にあるサーバーの設定です。WordPressが推奨するのはPHP 8.3以上です。PHP 8.2のセキュリティ修正は2026年12月31日で終わります。推奨の8.3も、不具合の修正は2025年12月31日で終わり、いまはセキュリティ修正だけが提供される段階です。PHPの版はサーバー側の設定なので、切り替えは契約しているサーバーの管理画面などで行います。

本体の更新が自動になっても、管理者に残るのは次の作業です。

  • プラグインとテーマの更新(自動に切り替えるか、手で当てるか)
  • 更新のあとに、表示・フォーム・予約が動いているかの確認
  • PHPの切り替え
  • バックアップと、壊れたときに戻す手順
  • 担当者のアカウントの追加と削除

IPA(情報処理推進機構)の「安全なウェブサイトの運用管理に向けての20ヶ条」も、CMSなどの脆弱性対策を定期的に行うことと、サーバーのソフトウェアをバージョンアップするときは事前に動作を検証することを挙げています。自動更新で当てる手間は減りましたが、当たったあとを確かめる人は変わらず要る、と考えています。

4. WordPress以外で更新する場合の分担

WordPressを使わない作り方でも、更新の作業そのものは無くなりません。変わるのは、どの作業を誰が持つかです。5つの形で並べました。

作り方ごとに、本文とお知らせ、フッターとメニュー、システムの更新と公開環境を誰が持つかを並べると、自社で持つ範囲はWordPressで管理者も自社に置く場合が最も広く、静的サイトで更新をすべて依頼する場合が最も狭い
作り方ごとに、本文とお知らせ、フッターとメニュー、システムの更新と公開環境を誰が持つかを並べると、自社で持つ範囲はWordPressで管理者も自社に置く場合が最も広く、静的サイトで更新をすべて依頼する場合が最も狭い
  • WordPressで、管理者も自社が持つ。フッターやメニューまで自分で直せる一方、プラグインやPHPの更新などのシステムの作業も自社に残ります。
  • WordPressで、自社は編集者、管理者は制作会社。本文とお知らせは自社、フッター・メニューと保守は制作会社です。フッターに載せた営業時間を変えるときも依頼になります。
  • 作成サービス(Wixなど)で、自社が編集する。本文からフッターまで自分で直せ、サーバーやセキュリティの管理はサービス事業者が持ちます。Wixは、ホスティング、HTTPSの自動有効化、24時間の監視、脆弱性の定期的な検査をWix側で行うと説明しています。二段階認証を設定するか、共同管理者にどの役割を渡すかは、サイト側で決めることになります。無料で招待できる共同管理者は既定で1人です。Wix Studioで作ったサイトなどは無料プランでも5人ですが、Wix Studio以外のアカウントに移すと、アップグレードするまで1人になります。Wixのプラン料金とドメインを足した費用は、Wixの年間費用を3年の総額で確かめた記事で計算しています。
  • 静的サイトで、お知らせだけ外部のブログサービスに書く。お知らせは自社がブログサービスに書き、ホームページの本文やフッターは制作会社に頼みます。
  • 静的サイトで、すべて依頼する。静的サイトは、サーバー側にCMSを置かず、作っておいたファイルをそのまま配信する方式で、更新するCMSがありません。本体やプラグインの更新は無くなりますが、公開しているサーバー、ドメイン、SSL、お問い合わせフォームの管理は残ります。

どの形でも、ドメインの名義とアカウントの持ち主は別に決める項目です。制作会社との契約が終わったときに何を引き取れるかは、解約の条件を契約書で確かめる記事で扱っています。

GoogleのSEOスターターガイドは、特定のCMSが検索で有利になるとは書いていません。CMSについては、サイトマップを自動で作るものがあること、題名(title)や画像の説明(alt)を簡単に設定できる場合があることに触れています。静的サイトでは、これらを制作側が組み込むことになります。

AIの機能は、WordPressにも入り始めています。2026年5月のWordPress 7.0で、生成AIとつなぐ仕組み(AI Client)と、接続先を管理する「コネクタ」の画面が本体に入りました。ただ、試験環境の既定の状態では、コネクタの画面にAnthropic・Google・OpenAIの接続先が「インストール」のボタン付きで並ぶだけで、投稿の画面に生成のボタンはありませんでした。タイトルや代替テキストを生成するには、AIのプラグインを入れて接続先を設定する必要があります。「WordPressにはAIが無い」とは言えなくなりましたが、使うには追加の設定が要る、というのが現状です。

5. 誰がどの作業を持つかを決める確認表

WordPressが要るかは、次の5つを埋めると決めやすくなります。

確かめること答えの例決まること
何を直すか料金・営業時間の文字 / お知らせ・事例 / ページの追加 / 予約・決済必要な権限と仕組み
どれくらいの頻度か年に数回 / 月に数回 / 毎週依頼で足りるか、自分で直す仕組みが要るか
誰が直すか代表者1人 / 事務の担当者が複数権限を何人に、どの役割で渡すか
管理者を誰が持つか自社 / 制作会社 / サービス事業者システムの作業の担当
直したあと誰が確かめるか自社 / 制作会社更新後の表示・フォームの確認

WordPressが合うのは、社内の複数の人が、お知らせ・採用・施工事例などを毎週のように出す場合です。WordPressでは、書く人と、確認して公開する人を役割で分けられます。ページが増え続ける場合にも向いています。そのかわり、管理者を自社に置いてシステムの作業まで持つか、保守を外注する費用を見込むことが前提になります。

WordPressでなくてもよいのは、直すのが料金や営業時間の文字で、年に数回の場合です。その回数なら、依頼で済ませる形にすれば、管理者の作業を抱えずに済みます。お知らせだけ自分で出したい場合は、外部のブログサービスに書く形や、作成サービスで自分で編集する形もあります。

依頼で済ませる場合の費用は、回数で見積もれます。たとえばデジステップでは、軽微な修正は1回5,500円(5か所まで)なので、年4回なら22,000円です。修正が多い場合は、月3回までの修正を含むWeb担当者代行(年間契約で月額5,280円。維持費2,200円の代わり)もあります。都度払いと月額のどちらが安くなるかの分かれ目は、修正費用を年間の総額で比べる記事で計算しています。

デジステップの標準プランはWordPressを使わない静的サイトで、文字や画像の修正は制作側が行い、お知らせは外部のブログサービスとの連携で自分で出す形です。自分でページを編集・追加したい場合は、更新マニュアルとレクチャーが付く高機能カスタム構築プランがあります。社内の複数の人が毎週記事を出し、管理者の作業まで社内で持てる会社には、WordPressのほうが合うと考えています。今のWordPressのサイトの保守が負担になっている場合は、デジステップで、文章・写真・ドメインを引き継いで作り直すこともできます。

よくあるご質問

月に1回くらいの更新でも、WordPressは必要ですか。

直すのが料金や営業時間の文字なら、月1回程度は依頼で済ませる形も選べます。月1回のお知らせを自分で出したい場合は、WordPressのほかに、外部のブログサービスや作成サービスで書く方法もあります。WordPressを選ぶなら、管理者の作業を誰が持つかも一緒に決めます。

更新を制作会社にすべて頼む場合も、管理画面のログインは必要ですか。

更新のためのログインは要りません。ただ、ドメインやサーバー、作成サービスのアカウントの名義が誰になっているかは、契約が終わったあとも使い続けられるかに関わるので、依頼する前に確かめておく項目です。

お知らせやブログだけ、別のサービスにできますか。

できます。ホームページからブログサービスへリンクし、お知らせはそちらに書く形です。ホームページの本文を直す作業とは分けて、お知らせだけを自社で持てます。どのサービスに書くかは、別に決めることになります。

出典

書いた人

日野 政人(Chapter Tech合同会社 代表)

Chapter Tech合同会社 代表。ITコンサル・PMOとして大規模システム開発に携わる一方、Web制作サービス「デジステップ」で小規模事業者のサイト制作と運用を手がけている。