制作の進め方 公開 2026.09.01 読了目安 約6分

ホームページ制作で用意する写真と文章 ― 公開日を決めるのは材料の揃う速さである

ホームページの公開日を決めるのは、制作の速さではなく、写真と文章が揃う速さです。

発注者が用意するものの全量は、実はそれほど多くありません。写真はスマホで撮れる範囲が大半で、文章のうち自分で確定する必要があるのは3つだけです。その内訳を数で示します。

この記事の要点

  • 公開が予定から遅れる原因の大半は、デザインでも技術でもなく材料待ちである。とくに料金の確定と代表者まわりの材料は制作側が代われないため、着手前に揃えると公開日が動かない。
  • 写真は10ページ構成でおよそ15〜25枚。大半はスマホ撮影で足り、代表者の顔写真だけは代替が利かない。ストック写真は雰囲気の補いには使えるが、実物の代わりには使えない。
  • 文章を全部書く必要はない。説明文はヒアリングで話せば制作側が起こせる。自分で確定するのは、料金、経歴の事実、やらないことの線引きの3つだけである。

1. 公開日を動かすのは、制作ではなく材料である

制作会社の側から見た事実を先に書いておきます。ホームページの公開が予定から遅れるとき、原因はほぼ材料です。デザインの手戻りでも、技術的な問題でもなく、写真が届かない、料金が決まらない、経歴の文面が確定しない。この待ち時間が公開日を押します。

これは発注者が怠けているという話ではありません。開業準備のなかで、ホームページの材料集めは優先順位が下がりやすい。しかも「何をどれだけ用意すればよいか」の全量が最初に示されないことが多く、全量の見えない作業は自然と後回しになります。

なので、この記事で全量を先に示します。材料は3種類です。

  • 写真 ― 10ページ構成でおよそ15〜25枚(2節)
  • 文章 ― 自分で確定するのは3つ。あとは話せば足りる(3節)
  • 事実情報 ― 営業時間や住所のような、聞かれれば1分で答えられるもの(4節)

着手前にこの一覧を眺めて、時間のかかりそうなものから並行で動かす。それだけで、公開日はほぼ動かなくなります。

2. 写真 ― 何をどれだけ、どこまでスマホでよいか

開業時の標準的な構成(5〜10ページ)で必要になる写真を、ページ別に数えます。

10ページ構成で必要な写真はおよそ15〜25枚。トップに3〜5枚、サービスに各1〜2枚、プロフィールと店舗にそれぞれ数枚で、大半はスマホで撮れる
10ページ構成で必要な写真はおよそ15〜25枚。トップに3〜5枚、サービスに各1〜2枚、プロフィールと店舗にそれぞれ数枚で、大半はスマホで撮れる
場所枚数の目安内容
トップ3〜5枚事業を象徴する場面。店なら外観と店内、技術が商品なら仕事中の手元
サービス・メニュー各1〜2枚提供物そのもの。施術、料理、施工例、商品
プロフィール1〜2枚代表者の顔写真。あれば仕事中の一枚
店舗・アクセス2〜3枚外観(明るい時間)、入口、内観
実績・事例あれば各1枚施工の前後、作品、納品物

合計でおよそ15〜25枚。多く見えますが、このうちスマホで撮って足りるものが大半です。明るい時間に、横位置で、引きと寄りの2枚ずつ。この原則さえ守れば、いまのスマートフォンのカメラは掲載に耐えます。明るさと色味の調整は制作側でできます。

例外は2つです。代表者の顔写真は、自撮りだけは避けて他の人に撮ってもらってください(機材はスマホで構いません)。それから、トップの1枚はサイト全体の印象を決めるので、撮影に予算を使うならここです。プロに頼む場合も、この1枚のためなら短時間のプランで足ります。

ストック写真(素材集の写真)には線引きがあります。使ってよいのは、雰囲気を補う背景的な場所だけ。使ってはいけないのは、実物の代わりをさせる場所です。店内、商品、施術風景、そして人物。素材集のモデルが自分の店のスタッフのように見える使い方をすると、来た客が最初に感じるのは「写真と違う」で、その印象は取り返せません。

3. 文章 ― 自分で確定するのは3つだけでいい

「文章が書けないので進められない」という心配は、半分は誤解です。ホームページの文章には、制作側が起こせるものと、起こせないものがあります。

制作側が起こせるもの。サービスの説明、事業への思い、よくある質問の答え。これらは、ヒアリングで口頭で話していただければ、制作側が原稿にできます。話すことと書くことは別の技能で、書けない人でも話せば材料は十分に出ます。書き慣れない人が一人で仕上げた原稿より、話し言葉から起こしたほうが読みやすくなることも多いくらいです。

発注者にしか確定できないもの。次の3つです。

  1. 料金。何をいくらで提供するか。「○○円〜」という幅のある書き方でも構いませんが、決められるのは発注者だけです。経験上、材料のなかでいちばん遅れて届くのがこれです。
  2. 経歴の事実。何年にどこで何をしていたか。資格・許認可の正式名称。これは作文ではなく事実の確認なので、箇条書きで十分です。
  3. やらないことの線引き。どこまでやって、どこから引き受けないか。ここが曖昧なまま公開すると、想定外の問い合わせへの返事に、開業直後の時間を取られ続けます。
文章のうち発注者にしか確定できないのは料金、経歴の事実、やらないことの線引きの3つで、説明文はヒアリングから制作側が起こせる
文章のうち発注者にしか確定できないのは料金、経歴の事実、やらないことの線引きの3つで、説明文はヒアリングから制作側が起こせる

裏を返せば、着手前に書いておくべき文章は、料金表の下書きと経歴の箇条書きの2枚だけです。あとは話しながら進められます。

4. 事実情報 ― 細かいが、無いと止まるもの

最後は地味な一覧です。一つひとつは1分で答えられるのに、聞かれてから調べると数日止まる、という種類のものを並べます。着手時にまとめて渡せるように、そのまま埋めて使ってください。

  • 屋号の正式表記(日本語・ローマ字)と読み仮名
  • 代表者名の表記(本名か、屋号と別のビジネスネームか)
  • 住所(未定なら市区まで。開業前の扱いは別記事)
  • 電話番号と、サイトに載せるかどうか
  • 営業時間・定休日
  • 決済手段(現金のみか、カード、コード決済の種類)
  • 駐車場の有無と台数
  • 資格・許認可の名称と番号(業種による)
  • SNSアカウントのURL
  • 建物の入口が分かりにくい場合、その目印

このうち「電話番号を載せるか」だけは、開業時に一度考えておく価値があります。載せれば問い合わせの電話は増えますが、営業電話も増えます。一人で回す開業初期は、フォームとLINEを主にして電話番号は載せない、という選択も普通にあります。あとから載せるのは簡単で、逆は面倒です。一度公開した番号は、検索結果や転載先から完全には消せません。

5. 渡し方 ― 全部揃うのを待たなくてよい

材料は、全部揃ってから渡す必要はありません。順番に出すほうが公開は早まります。

  • 先に出す。料金の下書き、経歴の箇条書き、事実情報の一覧。ここまでで、構成と文章の作業は始められます。
  • 並行で撮る。写真は構成が決まってからのほうが、何を撮ればよいかが具体的になります。制作側から「この場所で、この向きの1枚」という指定を受けてから撮ると、撮り直しが減ります。
  • 最後でよい。ロゴ、開業直前にしか撮れない写真(完成した内装など)。あとで差し替える前提で進めるのが普通で、公開を止める理由になりません。

一つだけ、後回しにできないものを繰り返しておきます。料金です。料金が未定のままだと、サービスページの構成も問い合わせの導線も仮組みで進み、最後にまとめて手戻りします。材料のなかでここだけは、着手前に「目安の金額を出す」ところまで決めておいてください。

材料が揃っているかどうかで、公開までの期間は体感で倍ほど違います。デジステップの制作期間を約2週間〜1か月と幅を持たせて案内しているのも、この差がそのまま出るからです。

よくあるご質問

文章も写真も、全部おまかせでお願いできますか。

説明文の類いはヒアリングから起こせるので、おまかせに近い形で進められます。ただし料金と経歴の事実だけは、どの制作会社にも代われません。この2つを決めていただければ、残りはお話を伺いながら進められます。

写真を撮るのが苦手で、仕上がりが不安です。

構成が決まった段階で、撮る場所・向き・時間帯を指定した一覧を受け取って、そのとおりに撮るのが確実です。明るさや色味は制作側で調整できます。どうしても難しい部分だけプロの撮影を入れる、という組み合わせもあります。

開業前で、載せられる写真がまだほとんどありません。

開業前は写真が無いのが普通です。文章と構成を先に固めて、写真は開業直前に撮って差し替える前提で進めます。詳しくは開業前でもホームページは作れるかの記事にまとめています。

書いた人

日野 政人(Chapter Tech合同会社 代表)

Chapter Tech合同会社 代表。ITコンサル・PMOとして大規模システム開発に携わる一方、Web制作サービス「デジステップ」で小規模事業者のサイト制作と運用を手がけている。