制作の進め方 公開 2026.10.09 読了目安 約10分

ホームページは1ページのみで足りるか ― 同じ文章を5ページに分けて比べた

同じ文章なら、1ページでも5ページでも情報量は変わりません。変わるのは、検索結果に出せる入口の数です。

1ページで始めてよいのか、最初から分けるべきかは、開業の準備やホームページの作り直しでよく迷うところです。

架空の出張クリーニングの文章を一字も足さずに2通りに組み、実際に検索されている語、AIに作らせたときのページ数、作成サービスの仕様と合わせて比べました。

1ページで足りる場面と、分けたほうがよい場面を、検索される質問の種類から整理します。

この記事の要点

  • 同じ782字の文章を1ページと5ページに組むと、本文と見出しの数は同じまま、検索結果に出せる題名と説明文の組が1組から5組に増えました。
  • 業種語のサジェストに出た1,228語では、地域名・料金・作業内容の問いが多く、効果や利用場面のように元の文章が答えていない問いもありました。
  • サービスが1つで名前で探されることが多いなら、1ページで足ります。料金や作業内容を別々に調べられる事業では、分けると問いごとの入口を持てます。

1. 同じ文章を1ページと5ページに組むと、何が変わるか

1ページだけのホームページについては、「検索に不利」「条件しだいで十分」という説明がよく見られます。ただ、その比べ方では、ページを分けた効果と、文章を書き足した効果が混ざりがちです。5ページのサイトは、1ページのサイトより文章が多いことがほとんどだからです。

そこで、文章を固定して分け方だけを変えました。使ったのは、架空の出張クリーニング事業「くらしクリーン(架空)」の文章です。サービス内容・料金・ご依頼の流れ・お客様の声・事業者について・よくある質問・お問い合わせの7つの節、本文782字を、一字も足さずに次の2通りに組みました。

  • 1ページ版: 7つの節を1つのURLに縦に並べ、メニューはページ内の節へ移動するリンク(#)にする
  • 5ページ版: トップ・サービス内容・料金・事業者について・お問い合わせの5つのURLに分け、ページごとに題名(title)と説明文(meta description)を付ける
同じ782字の文章でも、1ページに組むと検索結果の入口(題名と説明文の組)は1組、5ページに分けると5組になる
同じ782字の文章でも、1ページに組むと検索結果の入口(題名と説明文の組)は1組、5ページに分けると5組になる

できあがったHTMLを数えると、本文は両方とも782字、見出しの数も両方とも8つでした。違ったのは、題名と説明文の組の数です。1ページ版は1組、5ページ版は5組でした。

検索結果には、ページごとに1つの題名と説明文が表示されます。5ページ版には、料金を調べた人に向けて「料金表 ― エアコン1台・キッチン・浴室の税込料金」という題名のページがあります。1ページ版では、料金の節はあっても、検索結果に出る題名はトップの1つだけです。

一方で、直すときに確かめる箇所も5組に増えます。料金を変えたときに、料金のページの説明文まで直すかどうか、という確認が生まれます。分けて増えるのは、入口と、その手入れの両方だと考えています。

この比較は構成を比べたもので、検索順位は測っていません。どちらが上位に表示されるかは、この比較からは分かりません。

2. 実際に検索される問いと、それを受け止めるページ

分けた5つの入口が役に立つかは、実際に検索される問いしだいです。そこで、くらしクリーン(架空)の業種にあたる「ハウスクリーニング」「エアコンクリーニング」「浴室クリーニング」など10語について、Googleのサジェスト(検索窓の入力候補)を2026年9月28日に取得しました。

働く側の語(求人・開業)、自分で掃除する人の語、企業名・サービス名を含む語を除くと、1,228語が残りました。これを問いの型に分けた結果が次の図です。

出張クリーニングの業種語のサジェストに出た1,228語を型に分けると、地域名つきが311語で最も多く、料金199語、作業内容・範囲194語が続いた
出張クリーニングの業種語のサジェストに出た1,228語を型に分けると、地域名つきが311語で最も多く、料金199語、作業内容・範囲194語が続いた

数字は候補に出た語の数で、検索された回数ではありません。それでも、どんな問いで調べられているかの種類は見えます。問いは、ページとの関係で3つに分かれました。

問いの種類例1ページ版5ページ版
分けると、専用の入口ができる料金 相場、何時間かかる、エプロン内部(実測語)トップの題名で受け止める料金・サービス内容のページが題名で受け止める
分けても、書き足さないと答えられないいらない、退去時、いつがいい(実測語)答えが無い答えが無い
どちらの構成でも同じ屋号・事業の名前での検索トップトップ

料金や作業内容の問いは、元の文章に答えがあり、分けると題名と説明文を持つ入口になります。立ち会い・土日・支払い方法・キャンセル料・駐車場も、実測語に出ていました。元の文章はこれらに答えていますが、どちらの構成でも、題名に出るのはページの主題までです。

効果や必要性(「エアコンクリーニング いらない」)、利用場面(「ハウスクリーニング 退去時」)、時期(「いつがいい」)の問いには、元の文章が答えていませんでした。ページを分けるだけでは、この問いに答えられません。答えるには、文章を書き足す必要があります。ページ数の比較で「複数ページのほうが多くの問いに答えられる」と言われるとき、その差の多くはこの書き足しの分だと考えています。

地域名つきの問いは、311語で最も多い型でした。「ハウスクリーニング 世田谷区」「エアコンクリーニング 近く」のような検索では、地図と一緒に表示される店舗の情報も並びます。Googleは、地域の検索結果の順位を関連性・距離・知名度で決めると説明しています。ホームページのページ数がそこにどれだけ関わるかは、この比較では分かりません。店舗の情報の整え方は、ホームページとInstagramの記事で扱っています。

3. 1ページの中の節は、検索結果にどう出るか

1ページのサイトでも、中の節が検索にまったく使われないわけではありません。Googleの説明から言えることと、言えないことを分けておきます。

言えること

  • 検索結果の題名(タイトルリンク)は、ページごとに作られます。Googleは、ページごとに内容を表す固有の題名を付けるよう勧めています。1ページのサイトの題名は1つです。
  • GoogleはURLの「#」以降(フラグメント)を原則としてサポートしておらず、#でページの内容を切り替えないよう求めています。1ページの中の節は、別々のURLとしては扱われません。
  • 一方で、Googleは検索結果の抜粋の下に「Read more」のリンクを付けて、ページ内の該当する節へ直接案内することがあります。
  • 検索結果の下に並ぶサイト内のリンク(サイトリンク)は自動で作られ、サイト側から指定することはできません。

言えないこと

  • ページ数が少ないと評価が下がる、という説明は、Googleの文書には見当たりません。
  • ページを分ければ順位が上がる、という説明もありません。文字数にも決まった基準は無いとされています。

整理すると、1ページのサイトは、検索結果で使える題名と説明文が1組になります。問いごとに入口の題名を変えたい場合に、ページを分ける意味が出てきます。

4. AIに作らせると、ページ数を言わなければ1ページで出てくる

AIの対話サービスにホームページのHTMLを作らせる方法も広まっています。そのとき、何ページのサイトが出てくるかを確かめました。

OpenAIのAPIで2つのモデル(2026年9月28日時点で公式の一覧にあるもの)に、くらしクリーン(架空)のホームページをHTMLで作るよう頼みました。業種と屋号だけを伝える頼み方と、1章の782字の文章を渡す頼み方で、ページ数には触れていません。

AIにページ数を指定せずにホームページを頼んだ28回はすべて1ページで、5ページを指定した4回はすべて5ページに分けたが、全ページに説明文が付いたのは2回だった
AIにページ数を指定せずにホームページを頼んだ28回はすべて1ページで、5ページを指定した4回はすべて5ページに分けたが、全ページに説明文が付いたのは2回だった

ページ数に触れずに頼んだ28回は、28回ともHTML1ファイルの1ページでした。メニューはすべてページ内の#のリンクで、あとでページを分けることに触れた回はありませんでした。

「5ページ構成にしてください」と頼んだ4回は、4回とも5ページに分けました。ただし、片方のモデルの2回は、5ページとも題名は付いていたものの、説明文が付いたのは5ページ中1〜2ページでした。分ければ入口が5組そろう、とは限らない例です。canonical(正規のURLの指定)と構造化データは、32回とも付いていませんでした。

これはAPIでの結果で、ChatGPTなどの画面で頼んだ場合や、作成サービスに組み込まれたAIでは結果が変わることがあります。それでも、何も指定しなければ1ページで出てくることが多い、とは言えそうです。1ページで足りるかどうかは、AIの既定に任せず、次の章の場面から決めることになります。

5. 作成サービスでも、ページは分けられる

「作成サービスでは1ページしか作れない」という説明を見かけることがありますが、主なサービスの現行の仕様では、どれもページを分けられます。各社の公式ヘルプ・料金ページで、2026年9月28日に確かめた内容です。

項目CanvaペライチWix
1ページのサイト作れる作れる(1ページ = 1つのURL)作れる(メニューは節へのリンク)
作れるページ数最大45ページ。無料プランで公開できるのは1ページあたり10セクションまで公開できるページ数はライト3・レギュラー5・ビジネス20・プロフェッショナル20。フリープランは2025年10月1日から0ページ最大298ページ(うち静的ページ100)。プランによる違いは確認したヘルプに記載なし
ページごとの題名・説明文設定できる設定できる設定できる
独自ドメイン有料プランのみライト以上の有料プランPremium・Studioプラン

ページを分けられるかどうかは、サービスよりも、分けたページにそれぞれ題名と説明文を書くかどうかで差が出ます。どのサービスでも、ページごとの題名と説明文は自分で設定する項目です。

6. 1ページで足りる場面と、分けたほうがよい場面

ここまでの結果から、1ページで足りるかどうかを、検索される問いの種類で分けます。

1ページで足りる場面

  • サービスが1つで、屋号や名前で探されることが多い。名前での検索はトップが受け止めるので、構成による差が出にくくなります。
  • 開業の直前で、まず案内する場所が要る。名刺やチラシのURLの先に、事業内容と連絡先があれば役目を果たします。名刺が間に合わないときの記事で、1ページで足りるとしているのはこの場面です。

分けたほうがよい場面

  • 料金・作業内容・対応範囲など、別々の問いで調べられる。分けると、問いごとに題名と説明文を持つ入口ができます。
  • サービスが複数あり、それぞれを別の語で探される。エアコンと浴室のように、調べる人も語も違う場合です。

どちらの場面でも、効果や利用場面のような問いに答えるには、ページを分けるのではなく文章を書き足す必要があります。ページ数を決める前に、お客さまからよく聞かれることと、それに答える文章があるかを見ておくと、構成を決めやすくなります。

1ページで始めて、あとで分けることもできます。トップのURLをそのままにして、料金などの節を新しいページに移し、トップからリンクすれば、名刺やチラシに刷ったURLは変わりません。分けたときには、新しいページごとの題名と説明文を書くことと、同じ内容がトップと新しいページの両方に残っていないかを見ることが、作業として増えます。何ページが目安になるかは、開業時のホームページの記事で、開業時の受け皿として5〜10ページを挙げています。

デジステップの制作事例57件では、紹介文に1ページ構成と書いたものが7件、複数ページ構成と書いたものが3件ありました(残りは紹介文に記載がありません)。1ページで作るか分けるかは、事業ごとに決めています。標準プランでは最大10ページまでの範囲で、デジステップが今ある文章をもとに、どの問いにどのページで答えるかを一緒に決めて作ります。

よくあるご質問

1ページのホームページでも、検索結果に出ますか。

出ます。ページ数が少ないことで検索結果から外れる、という説明はGoogleの文書にはありません。違いが出るのは、検索結果に出せる題名と説明文が1組になる点です。

最初は1ページで、あとからページを増やせますか。

増やせます。トップのURLを変えずに、節を新しいページに移してリンクすれば、印刷物のURLもそのまま使えます。移したページには、それぞれ題名と説明文を付けます。

5ページにすれば、問い合わせは増えますか。

分けるだけで増えるとは言えません。今回の比較でも、効果や利用場面のような問いには、分けても答えられませんでした。答える文章があるかどうかのほうが先です。

出典

書いた人

日野 政人(Chapter Tech合同会社 代表)

Chapter Tech合同会社 代表。ITコンサル・PMOとして大規模システム開発に携わる一方、Web制作サービス「デジステップ」で小規模事業者のサイト制作と運用を手がけている。