1. 同じ文章を1ページと5ページに組むと、何が変わるか
1ページだけのホームページについては、「検索に不利」「条件しだいで十分」という説明がよく見られます。ただ、その比べ方では、ページを分けた効果と、文章を書き足した効果が混ざりがちです。5ページのサイトは、1ページのサイトより文章が多いことがほとんどだからです。
そこで、文章を固定して分け方だけを変えました。使ったのは、架空の出張クリーニング事業「くらしクリーン(架空)」の文章です。サービス内容・料金・ご依頼の流れ・お客様の声・事業者について・よくある質問・お問い合わせの7つの節、本文782字を、一字も足さずに次の2通りに組みました。
- 1ページ版: 7つの節を1つのURLに縦に並べ、メニューはページ内の節へ移動するリンク(#)にする
- 5ページ版: トップ・サービス内容・料金・事業者について・お問い合わせの5つのURLに分け、ページごとに題名(title)と説明文(meta description)を付ける
できあがったHTMLを数えると、本文は両方とも782字、見出しの数も両方とも8つでした。違ったのは、題名と説明文の組の数です。1ページ版は1組、5ページ版は5組でした。
検索結果には、ページごとに1つの題名と説明文が表示されます。5ページ版には、料金を調べた人に向けて「料金表 ― エアコン1台・キッチン・浴室の税込料金」という題名のページがあります。1ページ版では、料金の節はあっても、検索結果に出る題名はトップの1つだけです。
一方で、直すときに確かめる箇所も5組に増えます。料金を変えたときに、料金のページの説明文まで直すかどうか、という確認が生まれます。分けて増えるのは、入口と、その手入れの両方だと考えています。
この比較は構成を比べたもので、検索順位は測っていません。どちらが上位に表示されるかは、この比較からは分かりません。
2. 実際に検索される問いと、それを受け止めるページ
分けた5つの入口が役に立つかは、実際に検索される問いしだいです。そこで、くらしクリーン(架空)の業種にあたる「ハウスクリーニング」「エアコンクリーニング」「浴室クリーニング」など10語について、Googleのサジェスト(検索窓の入力候補)を2026年9月28日に取得しました。
働く側の語(求人・開業)、自分で掃除する人の語、企業名・サービス名を含む語を除くと、1,228語が残りました。これを問いの型に分けた結果が次の図です。
数字は候補に出た語の数で、検索された回数ではありません。それでも、どんな問いで調べられているかの種類は見えます。問いは、ページとの関係で3つに分かれました。
| 問いの種類 | 例 | 1ページ版 | 5ページ版 |
|---|---|---|---|
| 分けると、専用の入口ができる | 料金 相場、何時間かかる、エプロン内部(実測語) | トップの題名で受け止める | 料金・サービス内容のページが題名で受け止める |
| 分けても、書き足さないと答えられない | いらない、退去時、いつがいい(実測語) | 答えが無い | 答えが無い |
| どちらの構成でも同じ | 屋号・事業の名前での検索 | トップ | トップ |
料金や作業内容の問いは、元の文章に答えがあり、分けると題名と説明文を持つ入口になります。立ち会い・土日・支払い方法・キャンセル料・駐車場も、実測語に出ていました。元の文章はこれらに答えていますが、どちらの構成でも、題名に出るのはページの主題までです。
効果や必要性(「エアコンクリーニング いらない」)、利用場面(「ハウスクリーニング 退去時」)、時期(「いつがいい」)の問いには、元の文章が答えていませんでした。ページを分けるだけでは、この問いに答えられません。答えるには、文章を書き足す必要があります。ページ数の比較で「複数ページのほうが多くの問いに答えられる」と言われるとき、その差の多くはこの書き足しの分だと考えています。
地域名つきの問いは、311語で最も多い型でした。「ハウスクリーニング 世田谷区」「エアコンクリーニング 近く」のような検索では、地図と一緒に表示される店舗の情報も並びます。Googleは、地域の検索結果の順位を関連性・距離・知名度で決めると説明しています。ホームページのページ数がそこにどれだけ関わるかは、この比較では分かりません。店舗の情報の整え方は、ホームページとInstagramの記事で扱っています。
3. 1ページの中の節は、検索結果にどう出るか
1ページのサイトでも、中の節が検索にまったく使われないわけではありません。Googleの説明から言えることと、言えないことを分けておきます。
言えること
- 検索結果の題名(タイトルリンク)は、ページごとに作られます。Googleは、ページごとに内容を表す固有の題名を付けるよう勧めています。1ページのサイトの題名は1つです。
- GoogleはURLの「#」以降(フラグメント)を原則としてサポートしておらず、#でページの内容を切り替えないよう求めています。1ページの中の節は、別々のURLとしては扱われません。
- 一方で、Googleは検索結果の抜粋の下に「Read more」のリンクを付けて、ページ内の該当する節へ直接案内することがあります。
- 検索結果の下に並ぶサイト内のリンク(サイトリンク)は自動で作られ、サイト側から指定することはできません。
言えないこと
- ページ数が少ないと評価が下がる、という説明は、Googleの文書には見当たりません。
- ページを分ければ順位が上がる、という説明もありません。文字数にも決まった基準は無いとされています。
整理すると、1ページのサイトは、検索結果で使える題名と説明文が1組になります。問いごとに入口の題名を変えたい場合に、ページを分ける意味が出てきます。
4. AIに作らせると、ページ数を言わなければ1ページで出てくる
AIの対話サービスにホームページのHTMLを作らせる方法も広まっています。そのとき、何ページのサイトが出てくるかを確かめました。
OpenAIのAPIで2つのモデル(2026年9月28日時点で公式の一覧にあるもの)に、くらしクリーン(架空)のホームページをHTMLで作るよう頼みました。業種と屋号だけを伝える頼み方と、1章の782字の文章を渡す頼み方で、ページ数には触れていません。
ページ数に触れずに頼んだ28回は、28回ともHTML1ファイルの1ページでした。メニューはすべてページ内の#のリンクで、あとでページを分けることに触れた回はありませんでした。
「5ページ構成にしてください」と頼んだ4回は、4回とも5ページに分けました。ただし、片方のモデルの2回は、5ページとも題名は付いていたものの、説明文が付いたのは5ページ中1〜2ページでした。分ければ入口が5組そろう、とは限らない例です。canonical(正規のURLの指定)と構造化データは、32回とも付いていませんでした。
これはAPIでの結果で、ChatGPTなどの画面で頼んだ場合や、作成サービスに組み込まれたAIでは結果が変わることがあります。それでも、何も指定しなければ1ページで出てくることが多い、とは言えそうです。1ページで足りるかどうかは、AIの既定に任せず、次の章の場面から決めることになります。
5. 作成サービスでも、ページは分けられる
「作成サービスでは1ページしか作れない」という説明を見かけることがありますが、主なサービスの現行の仕様では、どれもページを分けられます。各社の公式ヘルプ・料金ページで、2026年9月28日に確かめた内容です。
| 項目 | Canva | ペライチ | Wix |
|---|---|---|---|
| 1ページのサイト | 作れる | 作れる(1ページ = 1つのURL) | 作れる(メニューは節へのリンク) |
| 作れるページ数 | 最大45ページ。無料プランで公開できるのは1ページあたり10セクションまで | 公開できるページ数はライト3・レギュラー5・ビジネス20・プロフェッショナル20。フリープランは2025年10月1日から0ページ | 最大298ページ(うち静的ページ100)。プランによる違いは確認したヘルプに記載なし |
| ページごとの題名・説明文 | 設定できる | 設定できる | 設定できる |
| 独自ドメイン | 有料プランのみ | ライト以上の有料プラン | Premium・Studioプラン |
ページを分けられるかどうかは、サービスよりも、分けたページにそれぞれ題名と説明文を書くかどうかで差が出ます。どのサービスでも、ページごとの題名と説明文は自分で設定する項目です。
6. 1ページで足りる場面と、分けたほうがよい場面
ここまでの結果から、1ページで足りるかどうかを、検索される問いの種類で分けます。
1ページで足りる場面
- サービスが1つで、屋号や名前で探されることが多い。名前での検索はトップが受け止めるので、構成による差が出にくくなります。
- 開業の直前で、まず案内する場所が要る。名刺やチラシのURLの先に、事業内容と連絡先があれば役目を果たします。名刺が間に合わないときの記事で、1ページで足りるとしているのはこの場面です。
分けたほうがよい場面
- 料金・作業内容・対応範囲など、別々の問いで調べられる。分けると、問いごとに題名と説明文を持つ入口ができます。
- サービスが複数あり、それぞれを別の語で探される。エアコンと浴室のように、調べる人も語も違う場合です。
どちらの場面でも、効果や利用場面のような問いに答えるには、ページを分けるのではなく文章を書き足す必要があります。ページ数を決める前に、お客さまからよく聞かれることと、それに答える文章があるかを見ておくと、構成を決めやすくなります。
1ページで始めて、あとで分けることもできます。トップのURLをそのままにして、料金などの節を新しいページに移し、トップからリンクすれば、名刺やチラシに刷ったURLは変わりません。分けたときには、新しいページごとの題名と説明文を書くことと、同じ内容がトップと新しいページの両方に残っていないかを見ることが、作業として増えます。何ページが目安になるかは、開業時のホームページの記事で、開業時の受け皿として5〜10ページを挙げています。
デジステップの制作事例57件では、紹介文に1ページ構成と書いたものが7件、複数ページ構成と書いたものが3件ありました(残りは紹介文に記載がありません)。1ページで作るか分けるかは、事業ごとに決めています。標準プランでは最大10ページまでの範囲で、デジステップが今ある文章をもとに、どの問いにどのページで答えるかを一緒に決めて作ります。