1. 名刺が待っているのは、サイトではなくURLである
名刺の入稿が迫っているのにサイトは影も形もない、という状況は、開業準備ではむしろ普通に起きます。名刺の締め切りは交流会や挨拶回りの日程で決まり、サイトの完成は準備の進み方で決まる。二つの締め切りは連動していないからです。
ここで「サイトが間に合わないから、名刺のURL欄は空けて刷ろう」とすると、刷り直しが確定します。順番を入れ替えれば、それは起きません。
名刺に印刷されるのは、URLの文字列とメールアドレスだけです。サイトが完成しているかどうかは、印刷には関係ありません。つまり名刺のために確定しなければならないのはドメインだけで、ドメインは屋号の表記さえ決まれば即日取れます。
サイトの制作はそのあとから追いかけて、名刺が配られ始めるころに公開が追いつけばよい。この記事は、その順番を前から書いたものです。
2. 最初にやるのは、屋号のローマ字表記を一本に決めること
ドメインを取るために決めることは一つ、屋号のローマ字表記です。
ここを急いで雑に決めると、あとで直せません。ドメインは名刺・封筒・看板・領収書に刷られ、メールアドレスの一部になります。変更は、そのすべての差し替えを意味します。最低限、次の3点だけ確認してから取ってください。
- 読めるか。電話口で口頭で伝えられて、聞いた人が打ち間違えない綴りか。数字の0と文字のo、lと1のような紛らわしい並びは、この先ずっと電話で説明することになります。
- 揃えられるか。InstagramやLINEのアカウント名で同じ表記が取れるか。ドメインとSNSのIDが別物だと、検索した客は同じ事業だと確信できません。
- 末尾はどれか。
.comが取れればそれで十分です。取られていた場合は、.netや.jpに逃げる前に、表記のほうを一段固有にする(地名や業種の語を足す)ことも検討してください。
費用は年に数千円です。取得を制作会社に代行してもらう場合も、登録者の名義が自分になっているかだけは確認してください。名義が制作会社のままだと、将来の乗り換えで詰まります。デジステップでは取得を代行したうえで、管理権限ごと発注者へ移管する方式を取っています。
3. 同時に、独自ドメインのメールアドレスを作る
ドメインを取ると、その場でもう一つの問題が解けます。名刺のメール欄です。
名刺のメールアドレスがフリーメールのままなのは、URLが空欄であることより目立ちます。屋号のドメインを取った時点で、info@屋号.com の形のアドレスが作れるようになります。月に数百円のメールサービスを紐づけるだけで、サイトの完成とは無関係に、その日から使えます。
デジステップの場合は、月額250円ほどのZoho Mailの導入を標準でサポートしています。どの制作会社に頼む場合でも、メールはサイトの完成を待たずに先に開通させたいと伝えれば、断られることはまずありません。
これで名刺の記載事項は全部埋まりました。
| 名刺の欄 | 確定に必要なもの | サイトの完成 |
|---|---|---|
| URL | ドメインの取得 | 不要 |
| メールアドレス | ドメイン+メールサービス | 不要 |
| QRコード | リンク先の決定(5節) | 不要 |
この時点で名刺は入稿できます。ここまで、早ければ1日です。
4. 開業日までに、1ページだけ公開しておく
入稿が済んだら、次の宿題は「名刺が実際に配られる日」までです。受け取った人がURLを開いたとき、何かが表示される状態にしておきます。
といっても、完成したサイトである必要はありません。1ページで足ります。載せるのは次の4つです。
- 屋号と、何の事業か(1〜2文)
- 提供するサービスと、可能なら料金の目安
- 代表者の名前と略歴
- 連絡先(フォームかLINE、メールアドレス)
避けたいのは、「Coming Soon」や「準備中」とだけ書かれたページです。開いた人が知りたいのは工事の進捗ではなく、何をしている誰なのかです。上の4つがあれば、1ページでも受け皿として機能します。
この1ページは捨て駒ではありません。本サイトの公開時にトップページへ置き換わるだけで、URLは最初から最後まで変わりません。ここが、ドメインを先に確定させる進め方のいちばんの利点です。名刺もQRコードも刷り直しにならず、開業前に配った名刺が、公開後は完成したサイトへの入口として働き続けます。
5. QRコードの向き先と、順番のまとめ
名刺にQRコードを載せる場合は、向き先の決め方だけ補足します。
QRコードはトップページ(ドメインそのもの)に向けておくのが基本です。サイトがまだ無いからと、一時しのぎでInstagramやLINEへ直接向けると、サイト完成後も刷った名刺のQRはそのままです。紙は直せません。LINEへの導線を太くしたいなら、QRの向き先を変えるのではなく、1ページ目の中にLINEのボタンを置きます。紙には変わらないもの(ドメイン)だけを刷り、変わるものはページの中で動かすという分担にしておくと、この先も刷り直しが発生しません。
順番をまとめます。
- 屋号のローマ字表記を確定する ― 決断だけ。かかるのは考える時間のみ
- ドメインを取り、メールを開通させる ― 即日〜数日
- 名刺を入稿する ― ここで名刺の締め切りから解放される
- 1ページを公開する ― 開業日・名刺配布日まで
- 本サイトを公開する ― 2週間〜1か月後。URLは変わらない
1〜3は最短で同じ週のうちに終わります。サイトの完成を待っていたら1か月先だった入稿が、順番を入れ替えるだけで今週になります。開業日までの全体の段取りは開業前でもホームページは作れるかにまとめてあります。